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役員を追加する場合は登記が必要?手続きのポイントや書類について

法人設立されてから年月が経つと、経営陣が変わることもあります。その際には役員の変更が発生し、それに伴う登記や諸手続きが必要となります。今回は、役員追加時における登記手続きについて解説いたします。

そもそも役員とは?

会社法上の役員とは、会計参与、取締役、監査役の総称を指します。新たにこれらの役職に就く場合には、役員変更登記が必要になります。役員変更が発生する主な理由としては、社員から役員(経営者)への昇進、社外からの就任、任期中の役員死亡による交代などがあります。

役員を追加する手続きについて

役員追加の手続きについては、取締役会設置会社と取締役会非設置会社でいくつか異なる点があります。株式会社では取締役会の設置が義務付けられていましたが、2006年の会社法改正によって取締役が1名でも株式会社を設立できるようになりました。なお、登記手続きは、変更が生じたタイミングから2週間以内に行わなければなりません。

この期限を過ぎても手続きをすることはできますが、登記懈怠とみなされ、代表者個人に100万円以下の罰金が科せられることがあります。

取締役会設置会社

取締役会設置会社の場合、以下の手順で取締役を追加します。

1.取締役会における株主総会の開催決定/株主総会招集通知の送付

取締役会では、候補者の選定のみ行うことができます。

2.株主総会の開催

普通決議により、新任取締役候補者が承認されます。承認には議決権の過半数を有する株主の出席および出席者の議決権の過半数の賛成が必要となります。

3.取締役会の開催

代表取締役の異動を伴う場合のみ実施します。

4.役員変更登記申請

追加・変更が有効となった場合には、議案が成立した株主総会から2週間以内に役員変更手続きを行いましょう。

取締役会非設置会社

取締役会非設置会社では、以下の手順で役員追加手続きを行います。

1.取締役による株主総会開催の決定

取締役が株主総会の開催を決定し、株主総会招集通知を送付します。

2.株主総会の開催

株主総会を開催します。承認の条件は取締役会設置会社と同様です。

3.代表取締役の決定(各自代表でない場合)

取締役会非設置会社では、取締役は各自代表となり、それぞれが代表取締役の役割をはたします。ただし、定款に「互選による代表取締役の選出」などがある場合はその規定に従います。

4.役員変更登記の申請

役員変更の内容によって準備する書類が異なります。必要書類については、次の項目で詳しく後述します。

役員追加で必要な書類

代表取締役の新任には、大きく「既存の取締役が代表取締役に就任するケース」と、「外部から新任取締役を迎えるケース」の2つが考えられます。いずれのケースでも、必ず用意しなければならないのは以下の書類となります。

  • 役員変更登記申請書
  • 印鑑証明書
  • 印鑑(改印)届書

取締役会設置会社

取締役会設置会社では、上記の書類に加えて以下の書類が求められます。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 委任状(本人以外の第三者が行う場合)

社外取締役を代表取締役に招聘する際などには、別途「就任承諾書」が必要になるため、注意しましょう。

取締役会非設置会社

取締役会非設置会社では、a.既存の取締役が代表取締役に就任するケース、b.新任の取締役が新たに代表取締役に就任するケースに大別されます。さらに、aでは前任の代表退任に伴う他取締役の昇格と、前任の代表が継続するケースに分けられます。

【前任の代表取締役が取締役を退任するケース】

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 役員変更登記申請書
  • 印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 委任状

【前任の代表取締役が取締役に残るケース】

  • 定款
  • 就任承諾書
  • 取締役の互選書
  • 役員変更登記申請書
  • 印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 委任状

【新任の取締役が新たに代表取締役に就任するケース】

  • 役員変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 印鑑届書
  • 委任状

役員変更登記申請書の書き方

役員変更登記申請書は、どのようなパターンの役員変更であっても必ず記入・提出しなければならない書類です。

登記の申請方法にはオンライン申請と書面申請の2通りがあります。例えば、辞任などによって新たな役員(取締役)が就任した場合は、所定の用紙に以下の情報を記入し添付します。

  • 会社法人番号
  • 商号
  • 本店の住所
  • 登記事由
  • 登記すべき事項
  • 登録免許税
  • 各種添付書類

法務局のホームページにはそれぞれの記載例が掲載されているので、そちらを参考に記入することをおすすめします。

参照:法務局|商業・法人登記の申請書様式

役員を追加する際の注意点

定款では、取締役の員数や就任期間、資格を定めていることが多いです。取締役の選任は、株主総会の普通決議によって行われます。決議を成立させるためには、次の要件を満たす必要があります。

  • 議決権の過半数を有する株主の出席
  • 出席した株主の賛成が過半数に達する

    このとき、定款に普通決議の定足数排除の規定があったとしても、3分の1までしか下げられないため注意してください(特別普通決議)。なお、監査役や会計参与の選任についても同様に株主総会の普通決議が必要です。

    定款で定めた人数になっているか

    実務においては、定款によって取締役の人数が制限されている場合が多く見受けられます。例えば、定款上で5名と定めている場合で、既存の役員に加えてさらに社外取締役を迎え入れる際には定款変更して定員を増やさなければなりません。

    他の役員と就任時期がズレないか

    公開会社では、選任から2年以内(監査役は4年)に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結時までを任期とすることが多いです。この場合、満期を迎えた役員は原則退任となります。任期満了後も継続して登用する場合は、一度退任してから重任(再任)の手続きを行いましょう。

    ただし、他役員の任期が残っている時期に取締役を追加で迎え入れてしまうと、任期満了の時期にずれが生じてしまい、役員変更の手続きが煩雑になる恐れも考えられます。

    このような事態を防ぐためには、定款で増員取締役の任期における規定を別途設けるなどして、増員分の任期満了の時期を調整することが望ましいでしょう。

    役員になる資格があるか

    例えば、取締役の法令上の欠格事由には以下のようなものがあります。

    • 法人
    • 会社法違反の罪やその他一定の罪を犯し、その刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
    • 会計参与・監査役

    なお、従来は成年被後見人や成年被保佐人は欠格事由に該当していましたが、2019年12月4日の会社法改正によって除外となっています。

    関連記事:取締役の欠格事由(取締役になれない人)|選任後に発覚した場合はどうすれば良い?

    会計参与については、業務の性質上、取締役とは異なり就任要件が厳しく定められています。

    • 税理士
    • 税理士法人
    • 公認会計士
    • 監査法人

    まとめ

    役員追加や変更における手続きにはさまざまなパターンがあり、手順や必要書類も異なります。不明点がある方は、ぜひ税理士や会計士などの専門家にご相談ください。当事務所では、法人設立や融資相談のほか、全般的な税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでご連絡ください。

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