登記懈怠(とうきけたい)とは何か?選任懈怠との違いや過料相場について
登記懈怠は登記の申請をせずに放置した状態を指します。そのままの状態にしておくと、過料などペナルティが科せられることがあります。本記事では登記懈怠の過料相場や対処法などについて解説します。
登記懈怠(とうきけたい)とは?
登記懈怠とは、役員変更など会社が本来登記すべき事項が生じているのにも関わらず、その行為を怠ることをいいます。読み方は「とうきけたい」。会社法では、変更事項が発生してから2週間以内に登記事項の変更を申請しなければなりません。登記申請が必要になるのは、主に以下のケースが挙げられます。
- 会社設立
- 役員変更
- 会社名・所在地の変更
- 事業目的の変更
登記懈怠(とうきけたい)と選任懈怠の違い
役員が任期満了を迎えると、必要な役員が足りない状態になることがあります。それにも関わらず、株主総会などで役員変更の決議を怠っていると役員の選任懈怠となります。
選任懈怠は登記懈怠の一種であり、任期満了前後に発生することが多いです。他にも、定款や法律上の役員定数を満たしていない場合や、休眠会社などで役員選任が放置されている場合も選任懈怠に該当します。
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登記申請が必要なケース
会社法上、登記申請が必要となる場面は、主に以下の3つが挙げられます。
法人設立
法人設立して事業を開始する場合には、必ず設立登記を行わなければなりません。会社設立時には登記を行い、商号・事業目的・所在地などを法務局に申請します。
法人設立登記は、どの形態の会社も行わなければならない手続きとなるため、手続きそのものを失念することは考えにくいでしょう。ただし、登記申請が2週間と短いため、あらかじめ書類に不備がないようにしておくことが重要です。
会社の名称変更・住所変更
会社の名称(商号)の変更や本店移転による住所変更においても登記申請が必要となります。商号は会社を特定するために最も重要な情報であるため、変更が生じた際にはすみやかに変更登記をしなければなりません。
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役員変更・新規就任
役員の情報も登記事項の一つです。そのため、役員の就任や退任のみならず、役員の氏名や住所変更の際にも登記変更が求められます。
株式会社では役員に任期があります。任期を過ぎても引き続き役員が職務を遂行するためには、株主総会で重任(じゅうにん)されなければなりません。重任登記を放置すると登記懈怠に該当する可能性があるため、注意しましょう。
登記懈怠(とうきけたい)の過料の相場
登記懈怠には、100万円以下の過料が定められています。ただし、実際には100万円満額の過料が命じられることはほとんどなく、また2週間超過したからといって、ただちに過料が命じられるケースは少ないとされています。
過料の金額は数万円前後であることが一般的で、登記懈怠の期間が長いほど科せられる金額が大きくなる傾向にあります。
登記懈怠(とうきけたい)に関するQ&A
登記懈怠(とうきけたい)とみなされる期間はいつから?
登記懈怠とみなされるのは、登記事項発生から2週間を超過したときです。登記の変更事項が生じた場合には、速やかに変更登記を行わなければならないと定められています。
なお、登記事項発生の具体的な起算点については、登記の種類によって異なります。例えば、取締役の新規就任については、取締役が株主総会の決議で選任され、その取締役が就任した日が起算点となります。
登記懈怠(とうきけたい)から過料通知までの流れは?
会社の代表者に対して、過料決定の通知を送付するのは裁判所ですが、過料の徴収の実務を担うのは検察庁です。一般的には通知から2ヶ月ほど経過すると、検察庁から具体的な過料の支払い手続きに関する案内があります。その案内に従って支払いを行います。
もっとも、過料決定に不服がある場合には、通知を受け取った日から1週間以内に検察庁に対して異議申し立てを行うことができます。ただし、よほど正当な理由がなければ申し立てが却下されるケースが大半です。
登記懈怠(とうきけたい)の支払い義務は誰にあるの?
過料の支払い義務は、会社の代表者個人に科せられます。代表取締役が複数存在する場合は、全員が対象となります。ただし、代表権を持たない取締役はそもそも登記申請の権限がないため、過料の対象外です。
過料は行政罰の一種であり、刑事罰ではありません。したがって、金銭を払う点では刑事罰の罰金と似ていますが、前科扱いとならないのが特徴です。また、会社の代表者個人に科せられるため、過料を経費扱いにはできません。
まとめ
登記懈怠は会社の信用にも悪影響を及ぼす可能性がある行為です。法人運営をするなかでは、変更登記をする機会は多く存在します。不明な点がある方は、ぜひ税理士や会計士などの専門家にご相談ください。
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