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下請法で改正されるポイントは?個人事業主やフリーランスは適用される?

下請法は中小企業や個人事業主を保護するために作られた法律です。事業活動において外部との取引が発生する場合は、十分に法律を理解する必要があります。

本記事では2023年に導入が検討されている法改正を中心に、罰則や対象範囲についてわかりやすく解説します。

下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは?

本法は親事業者が下請事業者となる中小企業や個人事業主に対し、支払い延期や値引きといった不当な取引などを防ぐための法律です。

関連記事:下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは|禁止事項や対象取引についてわかりやすく解説

立場を利用した支払いの延期は、本来独占禁止法に該当する違反行為ですが、認定するまでに時間を要するため、迅速な解決が難しいです。また、下請という立場上、親事業者の違反行為を申告することは難しいケースが多いでしょう。そのため、親事業者の下請事業者に対する違反行為を防止し、迅速に問題解決を行うための法律として誕生しました。

なお、下請法におけう指導件数は、この数年で増加傾向にあり、2017年に6752件、2018年には7710件、2020年には8107件となっています。

参照:令和3年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組

下請法(下請代金支払遅延等防止法)の改正のポイント・変更点について

本法は2022年から法改正が検討されており、早ければ2023年に新たな法律が公布される予定です。法改正を見ていくと資本金要件とインボイス制度に対して大きな変更があります。

資本金要件の引き下げ

現行では、下請法の対象となる親事業者は資本金が1000万円を超える企業となっています。そのため、1000万円以下の企業や個人事業主などは規制されません。

資本金が1000万円以下の企業は、個人事業主やフリーランスへ発注しているケースが多く、たとえ優越的な立場を利用した不当な取引があったとしても、個人事業主やフリーランスを保護することが難しい状況になっていました。

しかし、今回の法改正によって、資本金1000万円以下の企業も規制対象に加わるため、これまで泣き寝入り状態だった事業者も守られることになります。

インボイスも規制対象になる恐れも

現行の法律では、インボイスが規制対象として組み込まれていません。そのため、親事業者が下請事業者に、消費税分の値下げを要求する事例や、課税事業者として登録しているのに消費税分の値上げが受けられないといった問題も今後起こりうるでしょう。上述した法改正によって、資本金1000万円以下の企業も規制対象になれば、インボイスの開始による値下げや価格の据え置きを規制できます。

しかしながら、親事業者が課税事業者としての登録を個人事業主やフリーランスに依頼することは、公平な取引の範囲内なので規制の対象にはなりません。

下請法(下請代金支払遅延等防止法)でよくある質問

本法の理解が進んでいない事業者の中には、対象範囲や罰則内容についての疑問を感じる方も多いと思います。本章では下請法でよくある質問について、わかりやすく解説します。

下請法に違反した場合の罰則・ペナルティは?

違反とみなされた場合は、それぞれ定められた罰則やペナルティが科されます。

書面の交付義務違反

  • 第3条第1項の規定による書面を交付しなかったたとき。(書面の交付義務)
  • 第5条の規定による書類若しくは電磁的記録を作成せず,若しくは保存せず,又は虚偽の書類若しくは電磁的記録を作成したとき。

 

参照:下請代金支払遅延等防止法

法律によって交付が義務付けられている書面の提出・保存をしなかった場合、違反した個人と親事業者双方が罰則を受けます。最高で50万円の罰金が科されます。

立入検査の受け入れ拒否

  • 第9条第1項から第3項までの規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告をし,又は検査を拒み,妨げ,若しくは忌避したとき

 

参照:下請代金支払遅延等防止法

取引記録の調査や立入検査を拒否した場合、または虚偽の報告をした場合は、最高で50万円の罰金が科されます。

個人事業主やフリーランスでも適用される?

現行の法律では、資本金1000万円以上の親事業者が対象となるため、資本金1000万円以下と取引をしている個人事業主やフリーランスは保護されません。

2023年から改正が検討されている新法案では、個人事業主やフリーランス保護を目的としているため、資本金1000万円以下の企業も取り締まりの対象になる予定です。

損害賠償請求は可能?

違反行為によって下請事業者に損害が発生した場合は、民事裁判によって損害賠償を請求できます。しかし、親事業者と下請事業者との関係性や、今後の取引関係を守るために損害賠償請求を躊躇する事例も多いです。

損害賠償請求を検討する際は、弁護士に代理人を依頼し、法的な根拠を持って親事業者との関係性を明らかにすることが大切です。

子会社に発注するケースは?

親会社が子会社を通して下請事業者と取引するケースは、それぞれが異なる資本金区分だったとしても、場合によっては規制の対象となることがあります。

下請法の適用を免れることを防ぐために、名目上のいわゆるトンネル会社を作るケースがありますが、これは「トンネル会社規制」によって下請法の規制対象となります。

具体的な適用条件は、親会社が実質的に子会社を支配しており、親会社から委託される取引の多くを別の子会社に再委託している場合などが挙げられます。

仮に資本金が3000万円を超える親会社が、資本金1000万円以下の子会社を通じて下請事業者に業務を委託すると、本来は下請法の対象外となってしまいます。しかし、親会社が子会社を支配し、事業の大部分を業務委託しているケースは同規制が適用されることになります。

まとめ

下請法は、親事業者と下請事業者が適切で公正な取引を続けるために定められた法律で、立場を利用した支払い遅延などを防ぐことを目的としています。2023年に導入が検討されている新たな法案では、資本金1000万円以下の親会社も規制の対象になるとされています。

法律に抵触する行為や罰則には専門的な知識が必要であるため、弁護士や税理士・会計士などの専門家からアドバイスをもらうことをおすすめします。

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