会社を法人化したら?設立後に行う手続き・やること・必要書類まとめ
会社を設立しても、実際に法人として活動していくためには、関係省庁などに各種書類を提出してさまざまな手続きを行わなければなりません。その種類は多岐で煩雑であるため、法人として事業開始する前に確認しておく必要があります。今回は、会社設立後でやることや手続きについて解説します。
会社(法人)設立後に行う手続き1.法務局
会社設立後の手続きでは、法人口座の開設や年金事務所への届出などで会社の実存と実態を証明する書類の添付が求められることが多いです。そのため、各種申請に先立って、法務局で所定の書類を提出し、各種証明書を取得する必要があります。
提出書類は、「印鑑カード交付申請書」「印鑑証明書交付申請書」「登記事項証明書交付申請書」の3種類です。
印鑑証明書の取得
印鑑証明書とは、国に届け出た「会社の実印」の正当な所持者であることを証明するものです。
印鑑カード交付申請書の取得
会社の商号、事業所の住所、印鑑提出者、会社法人等番号、登記所に提出した会社の印鑑などを記入・押印し、届出を行います。
登記事項証明書の取得
本店所在地管轄の法務局に「登記事項署名書交付申請書」を提出し、登記事項証明書の交付を受けます。このとき、1通につき480円〜600円の手数料が必要です。また、オンライン請求では平日21時まで請求可能です。
必要書類
会社設立後に法務局に提出する書類は、以下の通りです。
印鑑カード交付申請書
添付書類:なし
提出期限:できるだけ速やかに提出
印鑑証明書交付申請書
添付書類:印鑑カード
提出期限:できるだけ速やかに提出
登記事項証明書交付申請書
添付書類:なし
提出期限:できるだけ速やかに提出
会社(法人)設立後に行う手続き2.年金事務所
常時従業員を使用するものは、法人に限らず事業主一人のみであっても、健康保険及び厚生年金など社会保険への加入が義務付けられています。そのため、法人設立したら社会保険の手続きを行わなければなりせん。
添付書類には登記事項証明書が含まれているため、先に法務局での手続きを済ませてから年金事務所で諸手続きを行います。
健康保険・厚生年金 新規適用届出
社会保険に加入すべき事業者が行う手続きです。加入が必要となる事実発生から5日以内に年金事務所へ必要書類などを提出します。法人の場合、登記簿謄本及び法人番号指定通知書などの写しが必要です。
社会保険被保険者資格取得届の提出
社会保険に加入すべき従業員がいるときに必要です。所定労働時間が正社員の4分の3以上など一定の要件を満たす場合、パートタイマーやアルバイトであっても加入義務が生じます。
必要書類
会社設立後に年金事務所に提出する書類は、以下の通りです。
健康保険・厚生年金保険新規適用届
添付書類:登記事項証明書、法人番号指定通知書の写し
提出期限:会社設立から5日以内
健康保険・厚生年金被保険者資格取得届
添付書類:なし
提出期限:被保険者になってから5日以内
会社(法人)設立後に行う手続き3.税務署
税務署に提出する書類はそれぞれ期限が異なります。
最短の提出期限が「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」になるため、その提出期限にあわせて他の書類もまとめて提出するのがおすすめです。
また、「青色申告の承認申請書」及び「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」の提出は任意ですが、青色申告は節税効果が大きいため、法人設立届出書と同時に提出しておきましょう。
必要書類
税務署に提出する書類は、以下の4種類です。
法人設立届出書
添付書類:定款の写し、登記事項証明書の写し
提出期限:会社設立から2ヶ月以内
給与支払事務所等の開設届出書
添付書類:なし
提出期限:会社設立から1ヶ月
青色申告の承認申請書
添付書類:なし
提出期限:会社設立から3ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
添付書類:なし
提出期限:特になし
会社(法人)設立後に行う手続き4.都道府県税事務所(市町村役場)
都道府県税事務所(市町村役場)では、「法人設立届出書」を提出します。
提出期限は会社設立から概ね1ヶ月以内、添付書類は定款の写しと登記事項証明書が求められることが通例です。
ただし、自治体によって提出期限が異なるほか、提出自体が義務付けられていないこともあります。本店所在地管轄の自治体ホームページなどを確認してください。
必要書類
各自治体へ届け出る書類は、以下の通りです。
法人設立届出書(自治体により名称が異なる)
添付書類:定款の写し、登記事項証明書の写し
提出期限:地域により異なる
会社(法人)設立後に行う手続き5.ハローワークでの手続き
事業主が一人でも労働者を雇用した場合、事業主には労働保険への加入が義務付けられます。労働保険とは労災保険と雇用保険を一括した保険の名称であり、従業員がパート・アルバイトの雇用形態であっても、労働保険に加入させなくてはなりません。
また、労働保険の手続きについては「ハローワークインターネットサービス」で電子申請も受け付けています。
なお、必要な添付書類は都道府県によって異なるため、詳細は本店所在地を管轄するハローワークにお問い合わせください。
必要書類
ハローワークに提出する書類は、以下の通りです。
雇用保険適用事業所設置届
添付書類:登記事項証明書、雇用の実態を証明する書類(労働者名簿、雇用契約書など)、保険関係成立届(事業主控)
提出期限:雇用した翌日から10日以内
雇用保険被保険者資格届
添付書類:なし
提出期限:雇用した翌日から10日以内
会社(法人)設立後に行う手続き6.労働基準監督署での手続き
会社設立後に従業員を雇用した場合、労働保険の加入手続きを行わなければなりません。ここでいう「従業員」とは、雇用形態に関係なく賃金を支給する人を指します。
なお、労働基準監督署に提出する書類は、関係省庁のホームページからダウンロードできません。本店所在地を管轄する労働基準監督署やハローワークから郵送してもらうか、または直接取りに行く必要があります。
必要書類
労働基準監督署に対して提出する書類は、以下の通りです。
労働保険関係成立届
添付書類:登記簿謄本
提出期限:従業員を雇用した翌日から10日以内
労働保険概算保険料申告書
添付書類:なし
提出期限:従業員を雇用した翌日から50日以内
就業規則(変更)届
添付書類:なし
提出期限:従業員を雇用したらすみやかに
適用事業報告書
添付書類:なし
提出期限:時間外労働・休日労働が発生したらすみやかに(36協定がある場合)
会社(法人)設立後に行う手続き7.法人口座の開設
財務処理上、個人口座とは別に法人口座を開設するのが一般的です。法人名義の口座を開設すると、次のようなメリットがあります。
- 会社としての信頼度が高まる
- 法人名義のクレジットカードが作れる
- 財務状況を把握しやすくなる
法人口座の不正利用を防ぐため、審査基準は厳格化されており、作成には多くの時間を要します。そのため、「法人口座の開設=社会的信用がある」ことを示せるとして、開業後の各種審査や融資などにも有利に働くと言われています。
必要書類
「新規届出書」の提出が必要です。また、労働保険料納付に関連して口座振替を利用したい場合には、「労働保険保険料等口座振替納付書送付(変更)依頼書兼口座振替依頼書」も併せて提出しましょう。
提出期限は特に定められていませんが、個人の口座開設よりも審査が厳格であるため、ある程度スケジュールに余裕を持っておくと良いでしょう。
提出書類名
- 新規届出書
- 労働保険保険料等口座振替納付書送付(変更)依頼書兼口座振替依頼書
その他添付書類
- 登記事項証明書
- 印鑑証明書(会社設立代表者のみ)
- 本人確認書類
- 銀行印
提出期限
特になし
会社(法人)設立後に行う手続き8.会計ソフトの導入
手続きの最後が、会計ソフトの導入です。会社設立後に、上述した手続きを一通り終えてからも、受発注の手続き、決算、確定申告など、法人に関わるさまざまな業務が定常的に発生します。
会計ソフトを導入すると、確定申告書類の作成や証憑管理、請求書管理などの業務工数を大幅に効率化できます。
また、定款や登記申請書、印鑑届出書、法人口座開設申請書なども作成できるソフトもあるため、会社設立のタイミングで導入してみても良いかもしれません。
まとめ
会社設立時も多くの手続きが存在しますが、会社設立後の数ヶ月間も多くの手続きが存在します。
万が一、提出期限を過ぎてしまうと、行政指導が入る、最悪の場合は罰則を課されるといったことにもなります。必ず忘れずに手続きを行うようにしましょう。