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会社を休眠する手続き|メリットやデメリットって?再開や復活についても

諸事情により、会社の事業を一時的に停止せざるを得なくなったとしても、いつかは事業を再開させたいと考える経営者は、多いのではないでしょうか。

会社の活動を停止させる形態には、全てをリセットする廃業・清算の他に、休眠という選択肢もあります。

今回は、休眠会社の意義やその手続きについて、詳しく解説します。

休眠会社とは?

休眠会社とは、一般的に、ある程度の期間、事業活動を行っていない会社・法人を指しますが、会社法上では、最後に登記のあった日から12年を経過した株式会社を指します。

なお、休眠の届出手続きを行っていない会社も、12年経過することで休眠会社の対象になります。

会社の休眠理由としては、次のような事例が考えられます。

  • 経営者の病気や事故・高齢化
  • 事業再建に向けた準備期間
  • 廃業に向けた準備期間

休眠と廃業の違い

休眠会社は、会社を存続させたままで事業活動だけを停止することを意味します。休眠の場合、法人格が存続するため、後に事業を再開することも可能です。

これに対して、廃業の場合、一切の権利義務関係や許認可の効力が失効します。また、会社法の規定により同一の名義で事業を再開することはできません。

廃業の手続きをする方法|法人、個人事業主別で解説

休眠と休業の違い

休眠と休業の意味はほぼ同義です。

どちらも、企業の法人格を残したまま、一時的に事業停止状態にするもので、所定の手続きを経ればいつでも事業を再開することができます。

休眠とみなし解散の違い

みなし解散とは、登記手続きを行わず、長期間放置されている会社を、強制的に解散させることを言います。

休眠会社の不正利用防止の観点から、法務省が5年〜10年おきで行っていたみなし解散を、2014年からは毎年実施しています。

みなし解散は最後の登記から12年を経過した株式会社が対象です。

法務大臣による官報公告及び管轄の登記所から「事業を廃止していない」旨の届出もしくは2ヶ月以内に登記申請を行わなければならない旨の通知書が送付されます。

その後、事業継続届の提出を行わない場合、自動的に解散登記の手続きに移行します。

ちなみに、合同会社、合資会社、合名会社などはみなし解散の適用外です。それは、役員の任期がなく、変更登記が何十年とされないケースも考えられるからです。

休眠会社にするメリット

会社の名義を残したまま活動を停止する休眠会社には、次のようなメリットがあります。

必要なタイミングで事業が再開できる

事業を再開する際は、税務署や都道府県税事務所、本店所在地の自治体の役場へ再開届(異動届出書)を提出するのみと、手続きも比較的容易です。

また、休眠会社は法人格が残されたままであるため、従来の人脈やブランドを活用しやすいといえます。

法人税や消費税がかからない

休眠中は所得や課税売上が発生しないため、法人税や消費税も課税されません。

また、一定額課税される法人住民税均等割についても、自治体によっては、休業届を提出することによって、均等割の免除や減免制度の特典を受けられる場合があります。

許認可を再取得する必要がない

廃業した場合、飲食業など許認可が必要な事業を復活させようとした場合、改めて許認可を取得し直さなければなりません。

一方、休眠にすると、許認可を維持したまま、事業を再開できます。ただし、休眠中でも許認可の更新手続きが必要となります。

休眠会社にするデメリット

廃業・清算手続きと比較するとメリットの多い休眠会社ですが、名義だけは存続するため、以下のようなデメリットも存在します。

「みなし解散」とみなされる恐れがある

先に述べたように、休眠の手続きをしたかどうかに関わらず、最後の登記から12年経った会社は、みなし解散の対象となります。

2ヶ月以内に手続きを行えば事業を継続させることができますが、各種通達や公告を無視すると、みなし解散と認定されてしまいます。

また、みなし解散と認定されてから3年以上経過すると、完全に解散したものとみなされ、事業再開ができなくなるため、注意が必要です。

変更登記や税務申告を行う必要がある

休眠中であっても、会社の役員変更や会社の住所変更があった場合には、登記変更手続きやそれに伴う登録免許税を支払わなければいけません。

2期連続で期限内に確定申告を行わなかった場合、青色申告が取り消しされてしまいます。

固定資産税を課される可能性も

休眠中であっても、法人名義所有の土地や家屋などの不動産、及び機械や商標権などの資産に対しては、市町村から固定資産税が課されます。

税額は、固定資産評価額に1.4%を掛けた価額です。

休眠会社にする手続きと必要書類

何らかの理由により、事業活動を継続するのが困難になった場合は、下記の手順で休眠手続きを行いましょう。法人設立のときよりも手続きは簡素なため、比較的短い期間で済ませることができます。

事業の停止

一切の事業活動を停止させます。

取引先との契約終了はもちろん、電話回線の解約や郵便局窓口での転居届の提出など、事業活動に関連する全ての手続きを終了させます。

税務署に異動届出書を提出する

登記簿上の本店所在地の管轄の税務署へ異動届出書を提出して、休眠中である旨を届け出ます。異動届出書の用紙は税務署で直接入手できる他、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。

合わせて、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書も提出しなければなりません。

都道府県税事務所及び市町村役場へ休業届を提出

都道府県税事務所及び市町村役場にも、異動届出書を提出します。

その他必要な書類

異動届出書以外にも、下記の手続きが必要です。

<労働基準監督署>

  • 労働保険確定保険料申告書

<ハローワーク>

  • 雇用保険適用事業所廃止届
  • 資格喪失届

<年金事務所>

  • 健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
  • 資格喪失届

休眠状態へ

全ての提出書類が受理されれば、会社は休眠状態に入ります。ただし、休眠中であっても役員変更登記などの手続きは必要です。各種変更が生じた場合には、速やかに変更登記を行って下さい。

休眠会社を復活・再開させるための手続きは?

休眠会社は、所定の手続きを踏めば活動を再開できます。ただし、みなし解散登記から3年経つと再開できなくなるため、注意してください。再開の手順は下記の通りです。

1.異動届出書の提出

管轄の税務署や自治体の事務所・役場などに再開届(異動届出書)を提出します。

2.休眠中の会計処理及び確定申告

休眠中でも、帳簿上における入出金が発生することがあります。売掛金回収や買掛金の支払いなどがなかったかを確認し、確定申告が必要な場合にはその手続きを済ませておきましょう。

3.青色申告が有効になっているか確認する

休眠中でも確定申告の義務が発生します。青色確定申告が有効であるか確認し、取り消されている場合には、改めて青色申告の承認申請を行います。

4.必要な登記申請の手続き

全ての役員の任期が有効であるか確認し、役員変更手続登記を行っていなければ、登記手続きを行います。

まとめ

会社を休眠させることは各種メリットもある一方で、みなし解散対策や税制対策など、細かい事務処理の知識が必要です。

手続きに不備があったために、法的効力を失ってしまっては、会社自体の存続も危うくなります。そのような事態を避けるためにも、不明な点はぜひ専門的な知識をもった税理士・会計士にご相談ください。

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