確定申告の期限を延長することは可能?納税猶予の手続きや対象要件について
確定申告の準備をしているが、どうしても期日までに間に合いそうにない……。こういった場合は、期限後に分割納税が認められる猶予制度や、納税の残額分について後日支払いが認められる延納制度などを検討しましょう。
確定申告の期間について
所得税・復興特別所得税
所得税・復興特別所得税の申告期間は2月16日から3月15日までです。なお、期限日が日祝にあたる際には、翌月曜日が期限日となります。
消費税・地方消費税
消費税および地方消費税の申告期間は翌年1月1日から3月31日までです。課税基準は基準期間における課税売上高が1,000万円を超えることであり、基準期間はその年の前々年となります。
なお、2023年10月からインボイス制度が導入されたため、請求書様式や消費税の扱いが変更になりました。
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源泉所得税
事業専従者や業務委託先に支払った報酬から源泉徴収をしている場合、事業主は源泉徴収した所得税および復興特別所得税を納付しなければなりません。
原則として、給与支払い月の翌月10日までに納める必要があります。ただし、給与の支給人数が常時10人未満の事業主は半年分まとめて納付することが認められています。
贈与税
贈与税は、個人から受け取った財産が年間110万円を超えたときに課税されます。申告期間は2月1日から3月15日までです。原則として一括納入ですが、以下の要件を満たしている方は最長5年の分割納付が認められます。
- 贈与を受けた翌年3月15日までに「贈与の延納申請書」を税務署に提出している
- 期限日までに10万円超の贈与税納税額を一括納入することで生活や事業継続が困難になる
- 納税額が100万円以上、もしくは分割期間が3年を超える場合は、提供できる担保がある
確定申告の期限延長・猶予をするには?
何らかの事情により納税が困難な場合は、期限後に分割納税が認められる猶予制度や、納税の残額分について後日支払いが認められる延納制度を利用することができます。
納付期限の延長
納税者の責任範囲を大きく超えた事情が生じたために、納付期限が延長される制度です。
適用例としては、災害などを原因とする「地域指定」、特定の期間・対象者に発生した事情を原因とする「対象者指定」、その他の事由による「個別指定」などがあります。
対象者指定
納付期間中に、申告などに用いる国税システムが何らかの原因で不具合が生じるなど、申告・納付ができないときに適用される制度です。国税庁長官はその対象者の範囲および期日を指定して、申告・納付などを延長します。特に対象者から申し出をする必要はありません。
対象者の範囲および期日については官報に掲載されます。なお、該当しない者は別途個別指定などの制度を利用し、期限延長を行います。
地域指定
地震や台風、洪水などやむを得ない事情によって期限内に申告・納付ができない者が都道府県全域または一部の地域で広範囲に生じた場合に、国税庁長官が地域および期日を指定して、納付期限を延長する制度です。
指定地域内に納税地のある者については、申請手続を行う必要はなく、自動的に納付期限が延長されます。地域および期日については、決定され次第、官報に掲載されます。
個別指定
災害などやむを得ない事情によって期限内に納付が困難な場合、納税地の所轄税務署長に申請することで、その理由のやんだ日から2ヶ月以内に限り、申告・納付等の期限を延長することができる制度です。災害の他に、以下のような事例でも個別指定として認められることがあります。
- 財産について災害を受ける、もしくは盗難に遭った
- 納税者自身や家族が病気にかかった、また負傷をした
- 事業の廃業や休業
- 事業の急激な業績悪化
国税等の延納制度
特別な届出や申請をせずに納税期限を延長できる制度です。延納制度が利用できるのは所得税と贈与税です。なお、3月15日の納付期限までに予定納税額の2分の1以上を納税することが条件となっています。
形式としては延滞であるため延滞税が課税されますが、無申告と比べても利率は低いです。確定申告前から納税の困難が予想される際には、同制度の利用を検討してみると良いでしょう。
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確定申告の期限延長・延納の手続き方法について
ここでは、納付期限の延長制度の手続き方法についてそれぞれ解説します。
納付期限の延長
対象者指定と地域指定では、手続きは不要です。個別指定では、納税地の所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出します。
延納制度
延納制度を利用したい場合には、確定申告の際に申告書第1表の「延納届出欄」に、確定申告期限までに納付する金額と後日納付する金額を記入します。
このとき、先に納税する金額は納税予定額の2分の1以上の金額になるようにしてください。後日納付分の納付期限は5月31日までです。延納期間中の延滞税は、年7.3%か特例基準割合のいずれか低い方が適用されます。
まとめ
確定申告の期限延長の手続きは、理由や状況に応じてさまざまな対処法が考えられます。不明な点がある方は、ぜひ税理士や会計士などの専門家にご相談ください。
当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、全般的な税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでご連絡ください。