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事業所得と雑所得の違いとは?どちらで確定申告すべきなのか?

会計上の所得には10種類の所得が規定されていますが、そのなかでも多くの人が頭を悩ますのが事業所得と雑所得の区別ではないでしょうか。本記事では、事業所得と雑所得の違いについて解説いたします。

事業所得とは?

事業所得は10種類の所得区分の一つであり、事業を営むことで得られた所得のことをいいます。生計を立てられる一定以上の規模をもつ事業であり、かつ反復・継続・独立して行われていることが該当要件とされています。事業所得に該当する事業の種類は以下の7つです。

  • 農業
  • 漁業
  • 製造業
  • 卸売業
  • 小売業
  • サービス業
  • その他の事業

なお「その他の事業」には、不動産の貸付けや山林譲渡は含まれないので注意しましょう。また、事業所得は以下の計算式で求められます。

事業所得=総収入金額-必要経費

総収入金額は該当事業によって得られた売上を指し、必要経費は売上を作るために必要な経費を指します。さらに、青色申告特別控除を利用する場合は、この金額から青色申告特別控除を引いた金額が事業所得となります。

雑所得とは?

雑所得は以下の9種類に分類されない所得のことを指します。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得

具体的な内容としては、次のような所得が挙げられます。

  • 公的年金など
  • 非営業用貸金の利子
  • 仮想通貨などの取引で得た利益
  • 副業に係る所得

事業所得と雑所得の違い

先に述べたように、事業所得と雑所得はいずれも日本の所得税法に基づく所得の区分ですが、性質や税務上の扱いに違いがあります。まず、事業所得は生計を立てられる一定以上の規模をもち、かつ反復・継続・独立して行われている性質をもちます。税制上では、青色申告特別控除を受けることができます。

一方で、雑所得は継続的に営まれていない事業活動からの所得や副業的な収入が該当します。事業所得とは違い白色申告の対象となります。

事業所得か雑所得かどうかの判断基準について

事業所得と雑所得の区分については、反復継続性、営利性・有償性、独立性などを総合的に勘案して判断されます。

反復継続性

事業所得として認められるためには、社会通念上、その活動が事業と称するに至る程度で行っているかどうかが重要となります。反復継続性を示す明確な基準はありませんが、年に1〜2回売上がある事業だと事業所得として認められない可能性が高いです。

なお、その所得にかかる取引を記録した帳簿の保存がない場合は、雑所得に該当します。ただし、所得にかかる収入が300万円を超え、かつ事業所得と認められる場合はその限りではありません。

営利性・有償性

明確に利益を得る目的があることが重要です。例えば、商品を販売して利益を得る、サービスを提供して報酬を得るなどの活動が挙げられます。目的が明確でなかったり、利益を得られる可能性が低かったりする場合は、「趣味」や「ボランティア活動」などとみなされ、事業所得としては認められない可能性があります。

独立性

事業所得として認められるためには、その活動が自己の意思で自由に運営され、労働契約などに基づく従属関係が存在しない独立性が重要となります。例えば、商品の仕入れや価格設定、サービス内容や提供方法の考案といった経営判断を自ら行う必要があります。これらを雇用契約の下で指示を受けて行っている場合は、独立性がないため給与所得とみなされます。

事業所得で確定申告するメリット

事業所得で確定申告をする最大のメリットは、青色申告の優遇措置を受けられる点です。

純損失の繰越ができる

事業所得で赤字があった場合、損益通算の規定を適用しても控除しきれなかった分については、翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年度分の所得金額から控除できます。

さらに、前年も青色申告を行っていた場合には、純損失を繰り越さずに前年に繰り戻して所得税還付を受けられることがあります(純損失の繰り戻し)。

青色事業専従者給与が適用される

青色事業専従者給与制度とは、青色申告をしている個人事業主や法人が、事業に従事する家族(配偶者や親族)に対して給与を支払う際、その給与を経費として計上できる制度です。

事業所得は原則として青色申告が適用されるため、家族に支払う給与を経費として扱えます。なお、青色事業専従者の適用要件は以下のとおりです。

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族であること
  • 15歳以上であること
  • 青色申告者の事業に専ら従事していること

関連記事:専従者給与の上限はいくらまで?適用要件や金額の変更方法についても

他の所得と損益通算できる

損益通算とは、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得で赤字となった場合、他の所得で生じた黒字金額から差し引く計算方法をいいます。

事業所得で申告すると、たとえ赤字でも他の所得で損失分をカバーして課税計算ができる可能性があるためメリットが大きいといえるでしょう。雑所得で申告すると損益通算が認められないため、課税負担が大きくなることがあります。

青色申告特別控除を受けられる

控除が認められるためには、事業所得として計上しなければなりません。青色申告には、以下のような要件が定められているためです。

  • 事業所得がある
  • 事業的規模の不動産所得がある
  • 事業的規模でない不動産がある
  • 山林所得がある

なお、特別控除額には65万円、55万円、10万円の3種類があり、申告方法や提出書類などがそれぞれ異なります。詳しくは以下の記事を参照ください。

関連記事:青色申告特別控除とは?どこから引く仕組み?計算方法や要件をわかりやすく解説

まとめ

事業所得と雑所得の区分方法については、判断が難しい部分も多いです。不明点がある方は、税理士や会計士などの専門家にご相談ください。

当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、全般的な税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでご連絡ください。

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