IT導入補助金の補助内容とは?変更点や申請方法について【2024年版】
インボイス制度や電子帳簿保存法など、ここ数年でIT化への動きが加速しており、中小企業や小規模事業者にも対応が求められています。
そんななか、業務効率や課題解決で必要なITツールの導入にかかる費用負担を補助してくれる「IT導入補助金」という制度があります。IT導入補助金は2017年にスタートし、2023年で6回目の実施となります。2024年のIT導入補助金についても少しずつ情報が公開されています。
本記事では、2024年版のIT導入補助金の概要について解説します。
※2023年12月31日執筆時点での情報です。最新情報は公式ホームページをご覧ください。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、自社の業務効率や課題解決において必要なITツールの導入にかかる費用を一部補助する制度です。4つの類型があり、それぞれ補助上限額や補助内容、補助率が異なります。
IT導入補助金(2023年版)の申請期限はいつまで?
申請期限は類型によって異なります。自社にとってどの枠を利用するのが適切か決定し、早めに準備しましょう。自社に適した枠がわからない場合は、IT導入支援事業者に相談してください。
通常枠(A類型・B類型)
締切 |
申請期限 |
交付決定日(予定) |
---|---|---|
9次締切 |
2023年12月25日 |
2024年1月29日 |
10次締切 |
2024年1月29日 |
2024年3月4日 |
デジタル化基盤導入類型
締切 |
申請期限 |
交付決定日(予定) |
---|---|---|
15次締切 |
2023年12月25日 |
2024年1月29日 |
16次締切 |
2024年1月15日 |
2024年2月19日 |
17次締切 |
2024年1月29日 |
2024年3月4日 |
セキュリティ対策推進枠
締切 |
申請期限 |
交付決定日(予定) |
---|---|---|
9次締切 |
2023年12月25日 |
2024年1月29日 |
10次締切 |
2024年1月29日 |
2024年3月4日 |
IT導入補助金(2024年版)の申請開始はいつから?
2023年では3月28日に交付申請の受付を開始し、1次締切が5月31日、2次締切が7月31日でした。ただし現時点では2024年度版の公式スケジュールは発表されていません。
IT導入補助金(2024年版)の種類
2024年度版のIT導入補助金は、以下4つの種類に分けられます。
通常枠
通常枠では、自社の業務効率や課題解決のために導入したITツールの費用が一部補助されます。補助上限額や補助率は以下のとおりです。
申請類型 |
補助上限額 |
補助率 |
通常枠A |
業務領域が1~3:5万円〜150万円未満 |
1/2 |
通常枠B |
業務領域が4以上:150万円~450万円以下 |
1/2 |
インボイス枠
インボイス枠には、「インボイス対応類型」と「電子取引類型」の2種類があります。
インボイス対応類型
インボイス対応類型は、2023年10月1日に開始したインボイス制度への対応に特化した支援枠です。会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトといったシステムに加え、PCやタブレットなどの導入費用も対象に含まれます。補助上限額や補助率は以下のとおりです。
事業者の種類 |
補助上限額・補助率 |
中小企業 |
<会計・受発注・決済ソフト>
<PC・タブレットなど> 10万円以下:補助率1/2 【レジ・券売機】 20万円以下:補助率1/2 |
小規模事業者 |
<会計・受発注・決済ソフト>
<PC・タブレットなど> 10万円以下:補助率が最大1/2 【レジ・券売機】 20万円以下:補助率が最大1/2 |
電子取引類型
電子取引類型は発注者側がインボイス対応済の受発注ソフトを導入し、受注者(中小企業・小規模事業者等)が無償で利用できるケースを支援します。補助上限額や補助率は以下のとおりです。
事業者 |
補助上限額・補助率 |
中小企業・小規模事業者 |
350万円以下:補助率が最大2/3 |
大企業 |
350万円以下:補助率が最大1/2 |
セキュリティ対策推進枠
ランサムウェアやマルウェア感染など、サイバー攻撃によって事業継続が困難になることを未然に防止することを目的に設置された支援枠です。
情報処理推進機構(IPA)が公表している「サイバーセキュリティお助け隊サービス」に掲載されているセキュリティサービスが対象となります。補助額は5万円〜100万円、補助率は1/2に定められています。
なお、対象は中小企業・小規模事業者になります。
複数社連携IT導入枠
10社以上の中小企業・小規模事業者が連携して地域DXの実現や生産性向上を図る取り組みを支援するものになります。密に連携して取り組む際にかかったコーディネート費や、外部専門家への謝礼金も支援対象となっています。
1.インボイス対応類型と同様
事業者 |
補助上限額・補助率 |
中小企業 |
<会計・受発注・決済ソフト> 50万円以下:補助率が最大3/4 50万円~350万円以下:補助率が最大2/3 <PC・タブレットなど> 10万円以下:補助率1/2 【レジ・券売機】 20万円以下:補助率1/2 |
小規模事業者 |
<会計・受発注・決済ソフト> 50万円以下:補助率が最大4/5 50万円~350万円以下:補助率が最大2/3 <PC・タブレットなど> 10万円以下:補助率が最大1/2 【レジ・券売機】 20万円以下:補助率が最大1/2 |
2.50万円×グループ構成員数
事業者 |
補助上限額・補助率 |
対象制限なし |
<コーディネート費、外部専門家への謝礼金など> 補助率が最大2/3 |
※補助上限額は、1・2合計で3,000万円
IT導入補助金(2024年版)の変更点は?
IT導入補助金(2024年版)の変更点は2つで、「インボイス枠の導入」と「小規模事業者への補助額の増加」です。
インボイス枠へと名称変更
2023年度版では「デジタル化基盤導入枠」として設定されていましたが、2024年度版ではインボイス枠へ名称が変わりました。さらに、EC機能をもつソフトウェアが補助対象ツールから除外されています。
小規模事業者の補助額の増加
2024年版では、インボイス枠において小規模事業者への補助率が最大4/5まで拡大されています。また、補助下限を撤廃したことで安価なITツールの導入でも同制度の利用が可能となりました。
IT導入補助金の申請方法
IT導入補助金を利用するには、IT導入支援事業者と協力しながら各種手続きを進める必要があります。ここでは、申請方法をステップごとに解説します。
IT導入支援事業者の選定
IT導入支援事業者を探すには、IT導入補助金の公式事務局が運営している「IT導入支援事業者・ITツール検索」を活用すると良いでしょう。営業エリアや所在地、IT導入補助金の申請枠の種類など、さまざまな条件で自社に適したIT導入支援事業者を絞り込むことができます。
「gBizIDプライム」アカウントの取得
gBizIDは、1つのIT・パスワードで複数の行政サービスにログインできる法人・個人事業主向けの共通認証システムです。法人の場合は書類を郵送申請してから発行まで約2週間かかるため注意してください。
申請要件に含まれる「みらデジ」の経営チェックでも、gBizIDプライムのアカウントが求められるため、早めの準備をおすすめします。
交付申請
準備が整ったら、IT導入支援事業者と共に交付申請手続きを進めます。まずIT導入支援事業者から「申請マイページ」に招待してもらい、必要情報の入力・書類の添付を行ったのち、IT導入支援事業者側で、導入予定のITツールの情報及び事業計画などを入力します。その後、入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓をして事務局へ提出します。
交付決定の通知
事務局から交付決定の通知が届いたら、ITツールの発注・契約などを行いましょう。交付決定の通知が届く前に発注・契約・支払いを行ってしまうと、補助金の交付を受けられなくなるので注意してください。
補助事業の実施
補助事業の完了後、ITツールの発注から支払いまで行ったことを証明できる書類を提出します。手順は下記のとおりです。
- 中小企業・小規模事業者が「申請マイページ」で必要情報・証憑の添付を行い、事業実績報告を作成する
- 事業実績報告を作成後、IT導入支援事業者は内容確認および必要情報の入力を行う
- 最終確認後、中小企業・小規模事業者が事務局に事業実績報告を行う
まとめ
IT導入補助金は非常に仕組みが複雑で、専門的な知見がないと自社にどの類型や枠が適切か判断することは難しいでしょう。IT導入補助金について疑問点や不明点などが生じたら、ぜひ税理士や会計士などの専門家にご相談ください。
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