取締役会の必要性って?設置したほうがいい会社、不要な会社
会社法改正にともない、取締役会の設置は任意となりましたが、実際、あったほうがいいのだろうか?と悩まれる経営者の方も多いかもしれません。
本記事では、取締役会の必要性、設置のメリット・デメリットについて解説いたします。
取締役会とは?
取締役会とは、取締役の執行の監督、代表取締役の選定、業務執行の意志決定などをおこなう機関です。
2006年に会社法が改正されてからは、取締役会の設置義務がなくなり、自由に決められるようになりました。
なお、取締役会を設置する場合は、3名以上の取締役と監査役1名が必要になります。
取締役会の設置義務はある?
前述のように、設置義務はありません。
ただし、下記に該当する場合は設置義務が発生します。
- 公開会社
- 監査役会設置会社
- 監査等委員会設置会社
- 指名委員会等設置会社
公開会社とは、上場をしている会社ではなく、株式の譲渡制限がない株式会社を指します。
一般的に、中小企業の多くは、株式に譲渡制限のある非公開会社のため、設置は不要になります。
取締役会の開催方法
取締役会は、取締役の過半数が出席できることを条件とします。
また、取締役会を開催する場合は、取締役会の開催日の7日前までに、招集通知を送付する必要があります。
開催場所や方法の規定はなく、会議室で開催するほか、テレビ会議や電話会議でも実施可能です。
取締役会の役割と権限
取締役の役割と権限は、第362条(取締役会の権限等)で以下のように規定されています。
- 取締役会設置会社の業務執行の決定
- 取締役の職務の執行の監督
- 代表取締役の選定及び解職
業務執行の決定
事業計画の策定、販促活動、採用活動、人材育成、資金調達、プロダクト開発など事業に関わる方針や活動内容を決定します。
なお、業務執行の決定に関しては、各取締役に委任できます。
ただし、下記の事項とその他重要事項に関しては、決定を委ねることができません。
- 重要な財産の処分及び譲り受け
- 多額の借財
- 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
- 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
- 募集社債の金額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
- 取締役の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして、法務省令で定める体制の整備
- 定款に基づく取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人の会社に対する責任の免除
取締役の職務の執行の監督
取締役が適切に職務を執行しているか監督します。
また、社外取締役が設置されている場合は、業務執行を行わないため、取締役の監視・監督をする役割を期待されます。
代表取締役の選定及び解職
解職とは、代表取締役を代表権のない平取締役にすることを指します。
似た言葉に解任がありますが、こちらは代表取締役から取締役の地位を失わせることを指します。
解職をする場合は、取締役会で過半数の賛成を得る必要があります。
取締役会を設置するメリット
取締役会を設置するメリットは、対外的な信用の獲得です。
取締役会があることで、大手企業との取引や銀行融資などの面で有利に働きます。
取締役会を設置することで、業務執行は取締役会で行われることになり、株主総会の権限が小さくなり、迅速な意思決定ができます。また、決議を経ることなく独断で執行行為(専断的行為)を予防する役割もあります。
取締役会を設置するデメリット
取締役会を設置する場合、最低でも取締役3名、監査役または会計参与1名以上が必要となり、その分、役員報酬の負担が増えます。
また、取締役会の決議事項について賛成や同意の意思表示を書面または電磁的記録でおこない、かつ監査役が異議を唱えなかった場合、招集手続き・決議・報告の省略化できますが、3ヵ月に1回程度の定期開催は省略できません。
取締役会を設置したほうがいい会社
では、どのような会社であれば、取締役会を設置したほうがいいのでしょうか。それは以下のような場合です。
- 上場を目指している
- 資金調達をする予定がある
- 大きな取引をしたい、事業規模を拡大したい
- ベンチャーキャピタルから出資を受けている
特に、上場を目指す場合は、コーポレートガバナンスを策定・遵守する必要が出てくるため、取締役会の役割は非常に重要になります。
なお、上場を目指す場合、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人などの機関設立、運用期間が1年以上であることが通例とされています。
まとめ
取締役会の必要性は、事業規模や今後の経営方針によって異なります。
上場を検討している場合は、取締役会の設置は必要になりますし、小規模で家族経営でやっていくのであれば、特に設置をする必要はないでしょう。