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赤字決算とは?節税になる仕組みやデメリット・対策方法まで徹底解説

赤字決算と聞くと「倒産」「経営危機」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。

しかし実際には、赤字でも企業の資金繰りが回っていれば、事業継続は可能です。

しかも、赤字決算には節税や将来の税負担軽減といった意外なメリットも存在します。

本記事では、赤字決算の仕組みやメリット・デメリット、さらに立て直しの具体策までをわかりやすく解説します。

経営に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

赤字決算とは?

赤字決算とは、企業の会計期間において収益が費用を下回り、損失(マイナスの利益)が発生している状態の決算のことです。

ただし、赤字決算だからといって即座に企業が倒産するわけではありません。

手元に十分な資金があり、資金繰りが回っている限りは事業を継続することができます。

赤字のメリット|わざわざ赤字決算にする理由

あえて赤字のままにしておく企業も意外と多いのはご存知ですか?

2024年の「国税庁統計法人税表」によると、2022年度の赤字法人は189万5,402社で64.8%を占めているという結果でした。

(参考:国税庁統計情報|国税庁

次に赤字決算のメリットについて解説していきます。

税金の一部免除

赤字決算の場合、法人税、地方法人税、法人事業税などの一部の税金が免除されます。

これは、これらの税金が課税所得(利益)に対して課税されるため、赤字の場合は課税対象がなくなるためです。

赤字(欠損金)の繰越控除

企業が赤字決算を出した場合、その赤字分(欠損金)を将来の課税所得から控除できる「繰越欠損金控除」があります。

この制度を利用するには、青色申告を行っていることが条件です。

また、企業規模によって控除可能額は異なります。

  • 中小企業(資本金1億円以下):翌期以降10年間にわたり、全額を課税所得から控除可能 
  • 大企業(資本金1億円超):翌期以降10年間にわたり、課税所得の50%まで控除可能

前期法人税の繰戻し還付

当期が赤字決算で、前期が黒字であった場合、「法人税の繰戻し還付」という制度が利用可能です。

これにより、前期に納付した法人税の一部が還付されます。

この制度も青色申告を行っていることが条件で、主に資本金1億円以下の中小企業が対象です。

赤字決算のデメリット

赤字は会社の信用や存続に大きな影響を及ぼします。

取引先との関係に悪影響を及ぼす場合もあるのでデメリットも把握しておきましょう。

信用力の低下と融資への影響

赤字決算は金融機関や取引先からの信用力低下を招きます。

銀行が行う「債務者区分」という信用格付けがダウンし、「要注意先」などに指定される可能性があります。

その場合、融資条件が厳しくなったり、融資自体が受けられなくなってしまいます。

銀行から融資を受ける際は決算書の提出が必須で、赤字決算は返済能力が低いと判断される材料となります。

特に赤字が継続する場合、融資を断られる可能性が高くなります。

経営者保証の継続

中小企業が金融機関から融資を受ける際、通常は「経営者保証」という形で経営者個人が企業の連帯保証人となります。

赤字決算の場合、この経営者保証を外すことが難しくなり、経営者個人に債務リスクがついて回ります。

税務調査のリスク増加

赤字決算が続くと、税務署から「意図的に赤字を作っているのでは?」という疑いで税務調査を受けるリスクが高まります。

赤字決算には税金面でのメリットがあるため、不当に赤字を作り出していないかチェックされる可能性もあるので注意が必要です。

債務超過と倒産リスク

赤字が続くと、最終的には債務超過に陥るリスクが高まります。

最悪の場合、債務超過状態では資金調達がさらに困難になり、倒産してしまう可能性もあります。

赤字決算は何年繰り越すことができるのか?

法人の場合、2020年度の税制改正により、中小企業であれば赤字(欠損金)は最長10年間繰り越し可能になりました。

将来的に黒字転換したする見込みがあれば、相当な節税対策になります。

一方、個人事業主の青色申告者は、最長3年間の繰越控除が認められています。

白色申告の場合はこの制度は適用されません。

 

赤字から立て直す方法

赤字から立て直すためには、事業を改善し、資金繰りを見直す必要があります。

場合によっては、コスト削減策を講じたり、売上アップのため商品の単価を見直さなくてはいけないかもしれません。

コスト削減策に関しては、こちらの記事もご参照ください。

【中小企業向け】今すぐ実践!利益最大化の経費削減アイデア13選

さらに、収入と支出のバランスを管理するためにキャッシュフローを見直すことが重要です。

資金繰り表やキャッシュフロー計算書を作成し、資金状況を把握しておきましょう。

これらは、税理士や会計士などの専門家に相談することをお勧めします。

また、専門家に相談することで、助成金の活用や最適な融資など、資金繰りに役立つ対策を提案してもらえます。

資金繰り策の一例|日本政策金融公庫による融資

日本政策金融公庫は、低金利で、無担保・無保証人でも融資を受けられる制度があります。

創業初期でも融資の審査が通りやすく、中小企業や個人事業主向けでも融資が受けやすいです。

特に「経営改善計画書」や「資金使途が明確」であれば、赤字決算でも審査に通る可能性が高まります。

まとめ|赤字で悩んだらまず専門家に相談を

赤字決算には節税などのメリットがある一方で、信用力低下や融資審査への影響などのデメリットもあります。早期に資金繰りや経営改善に取り組むことが重要です。専門家に相談することで、助成金や融資制度などの有効な対策を見つけやすくなります。

当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。

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