運転資金融資の方法とは!融資額の目安と成功させるための4つのコツ
事業を安定して運営するには、日々の支払いに必要な「運転資金」の確保が重要です。しかし、売掛金の回収や支払いのタイミングのズレで資金不足に陥ることも。そんなときに活用できるのが「運転資金融資」です。本記事では、運転資金融資の基本、必要な資金の計算方法、審査のポイント、融資の種類などを分かりやすく解説します。資金繰りに悩んでいる方は、ぜひ参考にして適切な資金調達を行いましょう。
運転資金融資とは?基本をわかりやすく解説
はじめに運転資金とは何かを解説し、融資を行う目的や具体的な計算方法を説明します。
運転資金とは?設備資金との違い
運転資金とは、企業が日々の事業運営を継続するために必要な資金のことを指します。例えば、仕入れ代金、人件費、家賃、光熱費などが含まれます。一方、設備資金は機械や設備の購入、オフィスの改装など、長期的な投資を目的とした資金です。運転資金融資は、事業の安定した継続に不可欠な資金を確保するための手段です。
運転資金は何ヶ月分必要?計算方法を解説
運転資金を計算する方法には「在高方式」と「回転期間方式」の2つがあります。
在高方式では、運転資金を「売掛金+棚卸資産−買掛金」として求められ、短期的な資金繰りを把握するのに役立ちます。
一方、回転期間方式では、「1日当たり売上高×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間−買入債務回転期間)」で計算し、企業の資金効率を把握することができます。
必要な運転資金の目安は、一般的には3〜6カ月分を確保すると安心です。
しかしながら、これらの計算式はあくまで目安であり、企業の業種や状況によって適切な計算方法は異なります。より正確な運転資金を把握するためには、専門家に相談することをおすすめします。
運転資金融資が必要になるケース
以下のような場合は運転資金の融資が必要になります。
金繰りの悪化(赤字補填資金)
売上が減少し、固定費の支払いが困難になると、運転資金融資が必要となります。特に短期間で黒字回復が見込まれる場合は、一時的な資金調達で乗り切ることが可能です。
事業拡大や新規投資のため
新規事業を開始したり、設備投資を行う際には、一時的に資金不足に陥ることがあります。運転資金融資を活用することで、安定した事業成長を支える資金を確保できます。
取引先への支払いと回収のズレ(掛取引)
売掛金の入金が遅れる一方で、仕入れや外注費の支払い期限が迫ると、資金繰りが悪化することがあります。こうしたキャッシュフローのズレを解消するために、運転資金融資を利用することが可能です。
突発的な支出やつなぎ資金の確保
突発的な設備故障や、急な仕入れ増加など、予期せぬ支出が発生することがあります。これに対応するためには、迅速に資金を調達する必要があります。運転資金融資を活用すれば、経営の安定性を確保できます。
複数の借り入れを一本化したい
複数の金融機関から借り入れを行っていると、管理が煩雑になり、金利負担が大きくなることがあります。この場合、一つの融資にまとめることで、月々の返済負担を軽減できます。ただし、借り換えには審査が伴うため、財務状況を整理し、適切な返済計画を示すことが求められます。
運転資金融資の審査基準と成功のポイント
運転資金融資の審査基準は以下の通りです。
<運転資金融資の審査で見られる4つのポイント>
- 事業の安定性(売上・利益)
- 信用情報(過去の借入状況)
- 担保や保証人の有無
- 事業計画の明確さ
金融機関はこれらの情報に加えて、経営者の経験や人柄、業界の動向なども総合的に判断します。以上をもとに融資を成功させるコツをそれぞれご紹介します。
具体的な資金使途を明確に説明する
資金をどのように活用し、事業の成長につなげるかを具体的に示すことが重要です。金融機関は融資が適切に運用されるかを重視するため、設備投資や運転資金の用途を明確に説明しましょう。
売上・利益の見込みを示す書類を準備する
過去の実績や将来の売上予測を示すデータを整え、計画の実現性を証明しましょう。決算書や売上推移のグラフを用意すると、金融機関の理解が深まりやすくなります。
財務状況を整理し、滞納を防ぐ
税金や社会保険料の未払いがないようにし、財務状況を健全に保つことが信頼につながります。過去の滞納履歴がある場合は、その改善策も説明できるように準備しておきましょう。
事業計画書を充実させる
売上見込み、競争優位性、市場分析などを含めた事業計画書を作成することで、金融機関からの評価を高められます。特に、資金の返済計画を明確に示すことがポイントです。
運転資金融資の5つの方法|融資の適切な選び方とは
ここでは運転資金融資を行う機関について説明します。それぞれの特徴についても記載しているので、融資方法を選ぶ際の参考にしてみてください。
創業者にも優しい日本政策金融公庫の融資
低金利で創業者にも優しい融資制度があり、無担保・無保証人での融資も可能です。事業計画がしっかりしていれば、実績がない場合でも審査に通る可能性があります。特に創業期の企業にとって、銀行融資よりもハードルが低く、柔軟な資金調達の選択肢となります。
メガバンク・地方銀行による銀行融資
信用力が求められるが、金利が低く、長期借入が可能。特に財務基盤が安定している企業に適しています。メガバンクは大企業向けの融資が中心ですが、地方銀行は地域の企業を支援する役割もあり、中小企業向けの融資も積極的に行っています。
地域密着型の信用金庫の融資
地域に根ざした中小企業向けの融資が多く、比較的柔軟な審査が期待できます。地域経済に貢献する事業であれば、特に支援を受けやすくなります。信用金庫は事業者との関係を重視し、経営状況に応じた融資が可能な場合もあります。
スピード重視のノンバンク融資
審査が迅速で、比較的柔軟に融資を受けられるが、金利は高め。短期間で資金を調達したい場合に適しています。特に信用情報に不安がある事業者にとっては選択肢となりますが、返済計画をしっかり立てることが重要です。
補助金・助成金との併用も可能?
補助金や助成金は返済義務がないため、積極的に活用すべきです。ただし、補助金の交付には時間がかかるため、計画的な資金調達が必要です。また、補助金の審査は厳しく、事業計画の内容によっては対象外となる場合もあるため、事前に確認しましょう。
また、機関によって金利や審査基準は金融機関や融資制度によって大きく異なります。我々専門家は、あなたの企業の状況に合わせた最適な資金調達方法を提案します。資金繰りに不安を感じたら、早めに相談してください。
申し込みから融資実行までの流れ
融資を受けるには、必要書類を揃え、審査を経て実行に至ります。必要書類は以下の通りです。
- 決算書(直近2〜3年分)
- 事業計画書
- 資金繰り表
- 納税証明書
- 銀行取引明細書
- 借入状況が分かる資料
特に事業計画書は、資金の使途や返済計画を明確に示す重要な資料です。申し込み後、金融機関は書類審査と面談を行い、必要に応じて追加資料を求めることもあります。
審査期間は概ね1ヶ月〜3ヶ月が目安です。しかし、金融機関の種類や申請内容によって変動する場合があります。
審査に通過するためには、過去の滞納履歴を改善し、売上や利益を正確に申告することが不可欠です。また、具体的な返済計画を示し、金融機関に信頼される事業計画を提示することが成功の鍵となります。
まとめ|資金繰りに悩んだら専門家に相談を
無理な借入をせず、事業に合った資金調達を必要以上の借入は経営リスクを高めるため、計画的に行う必要があります。専門家に相談することで、最適な融資プランの提案や事業計画書の作成サポートを受けられます。信用情報を適切に管理することで、スムーズな融資申請が可能です。運転資金融資を上手に活用し、資金繰りの不安を解消しましょう。
万が一、会社設立や資金融資に不安な点や不明な点があれば、税理士や会計士などの専門家にご相談ください。当事務所では、確定申告や節税対策だけでなく、税務調査や融資など幅広く税務・補助金に関する相談を受け付けております。ご希望の方は下記ダイヤルまたはお問い合わせフォームまでお気軽にご連絡ください。