川村会計事務所|大阪・堺の税理士事務所

生命保険を活用した相続税対策のすべて

 

 

「生命保険を活用した相続税対策って本当に効果があるの?」
「どんな方法があるのか知りたい!」
そんな疑問やお悩みを解決します。

1. 相続税とは?基本的な仕組みと計算方法

相続税とは、亡くなった方(被相続人)の財産を相続や遺贈によって取得した際に、その財産に課される税金です。
相続税の計算は、まず被相続人の全財産の総額を算出し、そこから基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求めます。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
例えば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。課税遺産総額に対して、法定相続分に応じた税率を適用し、各相続人の納付すべき相続税額が決定されます。

生命保険と相続の関係

生命保険の基本的な仕組み

生命保険とは、被保険者が死亡した際に、指定された受取人が保険金を受け取ることができる契約です。
保険料は契約者が定期的に支払い、万一の際に受取人が経済的な支援を受けることができます。
この仕組みにより、残された家族の生活保障や教育資金、さらには相続税の納税資金として活用されることが多いです。

生命保険の三者関係(契約者・被保険者・受取人)

生命保険契約には主に以下の三者が関与します:

  • 契約者:保険契約を締結し、保険料を支払う人。
  • 被保険者:保険の対象となる人。被保険者の死亡や特定の条件で保険金が支払われます。
  • 受取人:保険金を受け取る権利を持つ人。

例えば、夫が契約者兼被保険者で、妻を受取人とする場合、夫の死亡時に妻が保険金を受け取ることになります。
この三者の組み合わせにより、保険金に対する課税の種類(相続税、所得税、贈与税)が変わるため、契約時には注意が必要です。

生命保険の種類(終身保険・定期保険・死亡保険)

生命保険にはさまざまな種類があり、主なものは以下の通りです:

  • 終身保険:被保険者が死亡するまで保障が続く保険です。解約返戻金があり、資産形成や相続対策として利用されることが多いです。
  • 定期保険:一定の期間(例えば10年や20年)だけ保障がある保険です。保険料が比較的安く、大きな保障を確保したい場合に適しています。
  • 死亡保険:一定期間内に被保険者が死亡した場合には死亡保険金が支払われ、満期まで生存していると満期保険金が支払われる保険です。貯蓄性があり、教育資金や老後資金の準備として活用されます。

これらの保険の特徴を理解し、目的やニーズに合わせて選択することが重要です。
生命保険は、相続税対策や遺産分割の円滑化、納税資金の確保など、多くのメリットがあります。
しかし、契約内容や受取人の指定によっては、思わぬ税負担が生じることもあるため、専門家と相談しながら適切な契約を結ぶことが大切です。

2. 生命保険が相続税対策に有効な理由

生命保険の非課税枠とその計算方法(500万円 × 法定相続人の数)

生命保険金には、相続税の非課税枠が設けられています。
具体的には、「500万円 × 法定相続人の数」が非課税となる金額です。
例えば、法定相続人が3人いる場合、500万円 × 3人=1,500万円が非課税となります。
この非課税枠を活用することで、相続税の負担を軽減することが可能です。

生命保険金は受取人固有の財産となる

生命保険金は、受取人が指定されている場合、その受取人の固有の財産とみなされます。
つまり、遺産分割の対象とはならず、受取人が直接受け取ることができます。
これにより、他の相続人との間で遺産分割に関するトラブルを避けることができ、スムーズな資産承継が可能となります。

相続税の納税資金として活用できる

相続税は、現金で一括納付する必要があります。
しかし、不動産などの資産が多く、手元の現金が不足している場合、納税資金の確保が難しくなることがあります。
生命保険金は、被相続人の死亡後、比較的早期に現金として受け取ることができるため、相続税の納税資金として活用することができます。

相続放棄をしても生命保険金は受け取れる

相続放棄を行った場合でも、生命保険金は受取人固有の財産とされるため、受け取ることが可能です。
これは、生命保険金が相続財産とは別扱いとなるためです。
したがって、相続放棄を選択した場合でも、生命保険金を受け取ることで、一定の資金を確保することができます。

遺産分割トラブルを回避できる

遺産分割において、現金や不動産の分配を巡って相続人間でトラブルが生じることがあります。
しかし、生命保険金は受取人が指定されているため、他の相続人との共有財産とはならず、遺産分割の対象外となります。
これにより、遺産分割に関するトラブルを未然に防ぐことができます。

3. 生命保険契約の活用方法

受取人の指定を工夫してスムーズな遺産分割を実現

生命保険の受取人を適切に指定することで、遺産分割を円滑に進めることができます。
例えば、特定の相続人に多くの資産を残したい場合、その人を受取人に指定することで、他の相続人との間でトラブルを避けることが可能です。
また、生命保険金は受取人固有の財産とされ、遺産分割の対象外となるため、迅速に資金を受け取ることができます。

子供を契約者にすることで生前贈与として活用

生命保険契約において、子供を契約者とし、親を被保険者とすることで、生前贈与の手段として活用できます。
この方法では、親が保険料を負担し、子供が受取人となるため、親から子供への資産移転がスムーズに行えます。
ただし、贈与税の課税対象となる場合があるため、年間110万円の非課税枠を超えないよう注意が必要です。

一時払い終身保険を活用した相続税対策

一時払い終身保険とは、契約時に一括で保険料を支払い、生涯にわたって保障が続く保険です。
この保険を活用することで、相続発生時に受取人が非課税枠(500万円×法定相続人の数)を利用して保険金を受け取ることができます。
例えば、法定相続人が3人の場合、1,500万円までの保険金が非課税となり、相続税の負担を軽減できます。

代償分割のための生命保険の活用

代償分割とは、特定の相続人が遺産を取得し、他の相続人に対してその分の代償金を支払う方法です。
この際、生命保険を活用することで、代償金の支払い資金を確保できます。
例えば、長男が自宅を相続し、次男には生命保険金を受け取らせることで、公平な遺産分割が可能となります。

4. 生命保険を活用するメリット・デメリット

生命保険を活用する6つのメリット

非課税枠を活用して相続税を軽減できる

生命保険金には、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が設けられています。
例えば、法定相続人が3人いる場合、1,500万円までの保険金が非課税となり、相続税の負担を軽減できます。

受取人を指定することで円滑な資産承継が可能

生命保険では、受取人を自由に指定できます。
これにより、特定の相続人に確実に資産を渡すことができ、遺産分割の際のトラブルを避ける手助けとなります。

速やかに現金化でき、納税資金の確保に役立つ

生命保険金は、被相続人の死亡後、比較的早く受け取ることが可能です。
これにより、相続税の納税資金や葬儀費用など、急な出費に対応するための現金を速やかに確保できます。

相続放棄をしても受け取れる

相続放棄をした場合でも、生命保険金は受取人固有の財産とみなされ、受け取ることができます。

代償分割に活用できる

遺産分割において、不動産など分割しづらい資産がある場合、生命保険金を活用して他の相続人に対する代償金として支払うことができます。
これにより、公平な遺産分割が可能となります。

生前贈与として利用できる

生命保険を活用した生前贈与により、相続税の負担を軽減することが可能です。

生命保険を活用する3つのデメリット

保険料の負担が大きくなる可能性がある

高額な保険金を設定すると、毎月の保険料も高くなります。
特に高齢で加入する場合、保険料がさらに上昇するため、家計への負担となる可能性があります。

受取人が相続人以外の場合、非課税枠が適用されない

生命保険金の非課税枠は、受取人が法定相続人である場合に適用されます。
相続人以外を受取人とした場合、この非課税枠は適用されないので注意が必要です。

長期間の保険料支払いが資金繰りに影響を与える

生命保険は長期にわたる契約が一般的であり、保険料の支払いも長期間続きます。
これにより、他の資金需要とのバランスを考慮しないと、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

5. 相続税対策としておすすめの生命保険の選び方

生命保険の種類と選び方

終身保険の活用方法

終身保険は、一生涯にわたって死亡保障が続く保険です。
保険料は定期保険に比べて高めですが、解約返戻金があり、長期的な貯蓄としても活用できます。
相続税対策としては、死亡保険金が受取人固有の財産となり、非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用することで、相続税の負担を軽減できます。
また、解約返戻金を利用して、生前贈与や資産の有効活用も可能です。

長期平準定期保険とは?

長期平準定期保険は、保険期間が長く、保険料が一定の定期保険です。
解約返戻金は契約から一定期間経過後に高くなり、その後徐々に減少します。
法人が契約者となる場合、支払った保険料の一部を損金(経費)として計上できるため、節税効果が期待できます。
ただし、個人の相続税対策としては、解約返戻金の扱いや税務上の取り扱いに注意が必要です。

逓増定期保険(低解約返戻金型)に注意

逓増定期保険は、保険期間の経過に伴い、保険金額が増加する定期保険です。
低解約返戻金型の場合、一定期間内の解約返戻金が低く抑えられています。
法人向けの商品であり、保険料の一部を損金として計上できるメリットがありますが、個人の相続税対策としては適していません。
また、税務上の取り扱いが複雑なため、専門家のアドバイスが必要です。

相続税対策に適した保険契約のポイント

相続税対策として生命保険を活用する際には、以下のポイントに注意してください。

  • 受取人の指定:受取人を適切に指定することで、非課税枠を最大限に活用できます。例えば、法定相続人を受取人とすることで、非課税枠(500万円×法定相続人の数)を適用できます。
  • 保険金額の設定:相続税の課税対象となる財産額や非課税枠を考慮し、適切な保険金額を設定しましょう。過大な保険金額は、逆に相続税の負担を増やす可能性があります。
  • 保険料負担者の確認:契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人の関係によって、税務上の扱いが変わります。
  • 保険商品の選択:終身保険や一時払い終身保険など、解約返戻金があり、長期的な資産形成が可能な商品が相続税対策に適しています。

6. 生命保険を活用する際の注意点

受取人の指定と変更に関する注意点

受取人が死亡していた場合の対応

生命保険の受取人が被保険者より先に亡くなっていた場合、保険金は原則として被保険者の法定相続人に支払われます。
例えば、夫が被保険者で妻を受取人としていたが、妻が先に亡くなった場合、夫の死亡時には子供などの法定相続人が保険金を受け取ることになります。
このような事態を避けるため、受取人の状況に変化があった際には、速やかに受取人の変更手続きを行うことが重要です。

受取人が認知症になった場合の対策

受取人が認知症などで判断能力を失った場合、保険金の受け取り手続きが複雑になる可能性があります。
成年後見制度を利用して後見人を選任し、代理で手続きを行う方法がありますが、手続きには時間と費用がかかります。
受取人の健康状態や判断能力に変化が見られた場合は、早めに代理人の指定をすることが望ましいです。

生命保険契約の失効リスクと対策

生命保険契約は、保険料の未払いなどにより失効するリスクがあります。
契約が失効すると、保障が受けられなくなるため、以下の点に注意してください。

  • 保険料の支払い管理:口座振替やクレジットカード払いを利用し、支払い忘れを防止しましょう。
  • 支払い猶予期間の確認:保険会社によっては、保険料の支払いが遅れた場合でも一定の猶予期間が設けられていることがあります。

保険契約の名義に関する注意点

生命保険契約において、契約者、被保険者、受取人の組み合わせによって、課税される税金の種類が変わります。
例えば、以下のようなケースがあります。

  • 契約者と被保険者が同一、受取人が別人の場合:相続税の対象となります。
  • 契約者と受取人が同一、被保険者が別人の場合:所得税の対象となります。
  • 契約者、被保険者、受取人が全て異なる場合:贈与税の対象となります。

契約時には誰が契約者、被保険者、受取人となるかを慎重に検討し、税負担を最小限に抑えるようにしましょう。

7. 生命保険を活用した相続対策の手順

相続税対策のための生命保険加入ステップ

生命保険を相続税対策に活用するには、適切な手順を踏むことが重要です。以下のステップに従って進めましょう。

  • 現在の資産状況を確認: 現在の財産(不動産、預貯金、株式など)の総額を把握し、相続税の基礎控除額を考慮します。
  • 生命保険の非課税枠を考慮して必要な保険金額を決定: 法定相続人1人あたり500万円の非課税枠を活用し、必要な保険金額を計算します。
  • 適切な生命保険商品を選択: 終身保険、一時払い終身保険、定期保険など目的に合った商品を選びます。
  • 契約者・被保険者・受取人を適切に設定: 税制上のメリットを最大化する組み合わせを検討します。
  • 定期的に見直しを行う: 受取人や保険商品の見直し、健康状態の確認を行います。

死亡保険金の受け取り手続きと申請方法

生命保険の受取人が死亡保険金を請求するには、以下の手順を踏みます。

  • 必要書類を準備: 死亡診断書、生命保険証券、本人確認書類、保険会社所定の請求書類など。
  • 保険会社に連絡し、請求手続きを開始: コールセンターや担当者に連絡し、必要な手続きを確認します。
  • 保険金の振り込み: 必要書類を提出後、通常7〜14営業日以内に保険金が振り込まれます。

生命保険を活用する際に相談すべき専門家(税理士・FPなど)

生命保険を相続対策に活用する際は、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

  • 税理士: 相続税の計算や申告手続きをサポートし、非課税枠の適用や税務リスクの回避を支援します。
  • ファイナンシャルプランナー(FP): 家計全体の視点から生命保険の活用方法を提案し、資産運用の相談も可能です。
  • 弁護士: 相続トラブルが予想される場合、遺産分割協議や遺言書作成に関するアドバイスを提供します。

8. まとめ

 相続税対策として生命保険を活用するポイント

生命保険を活用することで、相続税の負担を軽減し、スムーズな資産承継を実現することが可能です。
相続税対策として生命保険を利用する際のポイントは、以下のとおりです。

  • 非課税枠の活用: 法定相続人の数 × 500万円の非課税枠を最大限活用し、相続税の負担を軽減する。
  • 納税資金の確保: 生命保険金は速やかに受け取ることができるため、相続税の納税資金として利用できる。
  • 受取人の指定を適切に行う: 受取人を法定相続人とすることで、非課税枠の適用を受けられる。
  • 遺産分割のトラブル防止: 生命保険金は受取人固有の財産となるため、遺産分割の対象外となり、相続人間のトラブルを防ぐことができる。

生命保険を利用した効果的な相続税対策を実現するために

生命保険を活用した相続税対策を成功させるためには、以下の点に留意することが重要です。

  • 保険商品の選定: 終身保険、一時払い終身保険、定期保険など、目的に合った商品を選ぶ。
  • 契約者・被保険者・受取人の関係を確認: 税制上のメリットを最大化する組み合わせを検討します。
  • 専門家に相談する: 税理士、ファイナンシャルプランナー(FP)、弁護士に相談し、最適なプランを選びましょう。

生命保険を適切に活用することで、相続税の負担を抑えながら円滑な資産承継を実現できます。
相続税対策を検討している場合は、専門家と相談しながら最適なプランを選ぶことをおすすめします。

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