相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度とは?基礎知識と仕組み
相続時精算課税制度の概要
相続時精算課税制度とは、生前贈与を行う際に一定額まで贈与税を非課税にできる制度です。最大2,500万円までの贈与を非課税で受け取ることができ、贈与者が亡くなった際に相続財産に加えて相続税を計算し、精算する仕組みになっています。特に、将来価値の上がる不動産や株式を早めに贈与したい場合や、相続税対策として利用されることが多い制度です。
相続時精算課税と暦年課税の違い
贈与税には「相続時精算課税」と「暦年課税」の2種類の税金の計算方法があります。違いは以下の表を参考にしてください。
項目 | 相続時精算課税 | 暦年課税 |
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税金の計算方法 | 2,500万円まで非課税、超過分は一律20%の贈与税 | 1年間で110万円まで非課税、それ以上は贈与額に応じて課税 |
相続時の加算 | 贈与財産を相続財産に加算し相続税を計算 | 加算されない(2024年改正で3年→7年以内の贈与は加算) |
選択の自由度 | 選択すると変更不可 | その年ごとに利用可能 |
相続時精算課税制度を選択すると暦年課税には戻せないため、慎重な判断が必要です。
相続時精算課税制度の適用対象者
この制度を利用できるのは、以下の条件を満たす人です。
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贈与者(あげる側):60歳以上の父母または祖父母
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受贈者(受け取る側):18歳以上の子や孫
適用を受けるには、受贈者が申告書を提出し、選択する必要があります。
相続時精算課税制度の基本ルール
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2,500万円まで贈与税がかからない
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2,500万円を超える部分には一律20%の贈与税がかかる
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贈与時に「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要
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贈与財産は相続財産に加算され相続税がかかる可能性あり
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一度選択すると暦年課税に戻れない
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財産の種類に制限なし(現金・不動産・株式など)
この制度は計算や手続きが複雑になるため、事前に専門家に相談することをおすすめします。
相続時精算課税制度のメリット・デメリット
メリット
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2,500万円まで非課税で贈与可能
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将来価値が上がる資産の節税対策に有効
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事業承継や不動産管理の早期移転が可能
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2024年改正で年間110万円以下の贈与が別枠で非課税
デメリット
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相続時に精算が必要(相続税が発生する可能性あり)
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一度選択すると暦年課税に戻せない
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「小規模宅地等の特例」が適用不可
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計算や手続きが複雑で申告漏れリスクがある
相続時精算課税制度の手続き方法
1. 適用の判断
贈与者(親・祖父母)と受贈者(子・孫)の関係を確認し、制度の適用を決定します。
2. 贈与契約書の作成
贈与者と受贈者の合意を明確にするため、契約書を作成。
3. 贈与を実行(財産の移転)
不動産の場合は登記手続きも必要です。
4. 申告書類の作成・提出
贈与を受けた翌年3月15日までに、以下の書類を税務署へ提出します。
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贈与税の申告書
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相続時精算課税選択届出書
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贈与契約書のコピー
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受贈者の戸籍謄本
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財産の評価資料(登記簿謄本、証券取引報告書など)
5. 相続時の手続き
贈与者が死亡した際には、贈与された財産を相続財産に加算し、相続税の申告を行います。
まとめ
相続時精算課税制度の重要ポイント
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2,500万円まで贈与非課税
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相続時にまとめて精算
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暦年課税制度には戻せない
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手続きには申告が必要
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不動産や株式の贈与向き
この制度は、相続税対策として有効ですが、適用後の変更ができないため、慎重な判断が求められます。専門家と相談しながら、最適な贈与計画を立てましょう。
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