会社名(商号)の決め方|使ってはいけない文字やルールとは
会社の看板である会社名。あとからでも変更できるとはいえ、基本的には数十年先使うことを想定して決めるため、なかなか悩みますよね。
本稿では会社名を決める際に知っておくべきルールや決め方のポイントについて解説いたします。
会社名(商号)とは?
株式会社、有限会社、合同会社など会社組織の名前です。
正式には商号と言います。
主に会社法及び商業登記法で規定されています。
会社名と屋号の違い
似た言葉に屋号がありますが、こちらは個人事業主が使用する名称です。
飲食店の名前や福祉施設や法律事務所などの名称が屋号に該当します。
屋号は会社名と異なり、付けるのに許可や申請は不要です。
また屋号を名乗る義務もないため、個人事業主のなかには本名で事業活動をしている人も少なくありません。
ただし、会社名と区別するために、屋号に株式会社や合同会社、incなどの文字の使用は禁止されています。
また商標登録済の名称の使用もできません。
会社名を決めるときに守らないといけないルール
世の中にはユニークな会社名がたくさんありますが、実はどんな名前をつけてもいいわけではなくルールがあります。ここでは、会社名のルールについて解説します。
商標登録がされている会社名を使うことはできない
屋号と同じく商標登録がされている会社名を使うことはできません。
万が一気付かずに商号を使ってしまうと、差止請求や損害賠償請求といったトラブルに発展してしまう恐れがあります。
有名な例では、任天堂の人気ゲーム「マリオカート」の略称を会社名にしていた株式会社マリカー(現商号:株式会社MARIモビリティ開発)の訴訟事例です。
許可なく任天堂を模したコスチュームと小型カートを貸し出す事業を行っていたこともあり、不正競争防止法や著作権に抵触するとして任天堂が訴訟し、2020年12月に勝訴が確定しています。
類似商号は極力使わない方がいい
2006年の会社法施行により類似商号の登記禁止規制が撤廃されましたが、類似した会社名を使うことでトラブルに発展するケースは存在しており、極力避けるのがベターでしょう。
同一住所で同名の社名は使用できない
ここでいう住所とは本店所在地を指します。同一住所にすでに同じ社名があった場合は使用できません。
ただし、都道府県が同じでも住所が異なる場合は使用できます。
〇〇会社の表記を前後どちらかに必ず入れる
どの組織体であっても、必ず前か後ろに含める決まりがあります。
このように、前に組織体名があることを前株、後ろにあることを後株と言います。
「ナレッジ株式会社シェア」のように間に入れることはできません。
また、前株と後株はどちらでもよく、語呂や音感の良さで決めてしまって問題ありません。
使えない文字がある
会社名には、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(小文字、大文字)、アラビア数字を使用できます。
また、以下の一部記号も使うことが可能です。
- 「&」(アンド)
- 「・」(中点)
- 「.」(ピリオド)
- 「-」(ハイフン)
- 「‘」(アポストロフィ)
- 「,」(カンマ)
「 」(半角スペース※ローマ字の単語を区切る場合のみ使用可能)
ただし、これら記号は文字を区切る時にのみ使用でき、先頭や末尾に使うことはできません。
例外的にピリオドだけ末尾に使用できます。
文字数の制限はない
会社名に文字数の決まりはありません。極端な話1文字から可能です。
ちなみに、2014年時点でもっとも長い会社名は埼玉県熊谷市に本社を置く「株式会社あなたの幸せが私の幸せ世の為人の為人類幸福繋がり創造即ち我らの使命なり今まさに変革の時ここに熱き魂と愛と情鉄の勇気と利他の精神を持つ者が結集せり日々感謝喜び笑顔繋がりを確かな一歩とし地球の永続を約束する公益の志溢れる我らの足跡に歴史の花が咲くいざゆかん浪漫輝く航海へ」で、ギネス記録を取得しています。
特定の業種しか使用できない言葉がある
銀行業や証券会社などは、会社名に銀行や信用金庫、信託、証券などの言葉を含めることが義務付けられています。
反対に他の業種の会社がこれらの言葉を使うことはできません。
支店や営業所という言葉は使用できない
本店との混同を防ぐために、会社名に支店や営業所、代理店などを使うことは制限されています。
会社名の決め方
これらのルールを守ったうえで、会社名はどのように決めていけばいいのでしょうか。
決め方のポイントを5つご紹介します。
ドメイン(URL)が取得できるか
せっかく良い会社名にしたのに、ドメイン(URL)がすでに取得されていて、なくなく別のドメイン(URL)ものにしただともったいないですね。
会社名とURLが異なっていると信頼にも関わります。
会社名を確定する前に、必ずドメインが取得できるか確認しましょう。空きドメインはドメインサービスで検索できます。
ひと目で事業内容が理解できるか
会社名を見て、すぐに事業内容が想起できるかが重要です。
有名な例だと、「おやつカンパニー(おやつ=お菓子、カンパニー=会社)」で非常にわかりやすいですね。
検索されやすいネーミングか
たとえキャッチーなネーミングでも、記憶に残るネーミングでも、会社名で検索したときに1ページに表示されなければ、みすみすお客さんの接触機会を逃してしまいます。
例えば、ネーミングで使われがちな「オンリーワン」「アシスト」「ドリーム」などはシンプルで覚えやすいものの、すでに使われていることが多く、検索結果で上位表示されることは難しいです。
そのため、シンプルな単語を2つ以上組み合わせると唯一無二のネーミングとして、上位表示されやすいです。
例:ビジネス(事業)+グロース(成長)+センター(事務所)
よく使われる日本語+英語の組み合わせでは、さらに希少性が高くなります。
例:介護+ハッカー(高い技術力を駆使してシステムを操ること)
事業戦略とマッチしているか
将来的に、事業を広げるビジョンがあるなら、現在の事業にとどまらない幅広い意味をもつネーミングをつけたほうがいいでしょう
例えば、「Good Smile Tea Stand」だとティーショップというイメージにとどまりますが、「Good Smile Tea Company」であれば、お茶関連事業を幅広く展開しているイメージを想起できます。
外国語での意味や発音は考慮しているか
カタカナでスタイリッシュな会社名にしたけど他の言語に訳したときにネガティブな意味合いだった、卑猥な意味だったとなる可能性も。有名な例がカルピスです。
カルピスは、カルシウムの「カル」と仏教の五味のひとつ「サルピス」をかけ合わせて命名されたそうですが、実はカルピスは英語で牛のおしっこと訳せてしまうため、「CALPICO(カルピコ)」という呼称に変更されています。
必ず、他の言語に訳してみて問題がないかチェックしましょう。
まとめ
会社名はいわば、会社の看板でありブランド戦略そのものです。
本稿で紹介したルールを参考にしながら、納得のいく会社名を決めてみてはいかがでしょうか?
弊事務所では、会社名選定を含めた法人設立のご相談を承っております。
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