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本店所在地とは|本社所在地との違いや変更手続きについて

本店所在地は、法人設立で必ず決定しなければいけない絶対的記載事項です。

所在地の決定に制限はありませんが、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
本記事では、本店所在地と本社所在地の違いや注意点などについて解説します。

本店所在地とは?

その名のとおり、会社の本店が所在している場所のことを言います。

法人設立では絶対的記載事項に該当するため、設立前に必ず決定しなければいけません。
本店所在地の場所には制限はなく、自由に設定できます。

本店所在地と本社所在地の違い

本店所在地と本社所在地の2つは非常に紛らわしいですが、本社所在地はあくまで本社機能を有する重要拠点を指し、定款や登記では効力を発揮しません。

ただし、本店所在地と本社所在地が同一の場合は、その限りではありません。

定款と登記で本店所在地の記載方法が異なる

また、本店所在地の記載方法は定款と登記によって異なります。

定款では、最小行政区画までの記載で問題ありません。
一方、登記では番地まで含めて住所を記載する必要があります。

  • 定款の場合:東京都渋谷区
  • 登記の場合:東京都渋谷区松濤1-28-2

最小行政区画で記載することで、同一市内での引越しのさいに定款変更をせずに済むため、このように記載されるケースが多いです。

本店所在地はどこにするのがベスト?

本店所在地としては、どこにするのが適切なのでしょうか。

今回は、本店所在地としてよく使われる自宅、バーチャルオフィス、賃貸オフィスの3つで考えてみたいと思います。

自宅

法人を設立したばかりであれば、自宅を本店所在地にすることもあるでしょう。
自宅を本店所在地にすると、家賃や通信費、水道光熱費などを経費として計上できます。
また、オフィスを新たに借りなくて済むため、コスト削減につながります。

しかし、登記簿は簡単に検索できてしまうため、自宅の住所が筒抜けになってしまいます。
また、自宅の住所だということもあり、信用レベルをそこまで高めることはできません。

バーチャルオフィス

バーチャルオフィスとは、業務をするスペースはありませんが、オフィスに必要な住所や電話、FAXなどの機能を利用できるサービスです。

通常、事務所を借りるとオフィス賃料と水道光熱費、OA機器のリース費用などがかかりますが、最低限の費用で済ますことができます。
場所によって金額は異なりますが、10,000円以下で借りることができます。

このように、費用を安く抑えられるものの、許認可事業では許可が下りない、銀行融資が受けにくい、また銀行によっては法人口座の開設を行えないといったデメリットもあります。

賃貸オフィス

会社独自のオフィスであるため、取引先や金融機関などからも信頼を得られやすく、融資や取引で断られることも少なくなります。

また、事業拡大に伴う人員増加や会議室の増設などにも即座に対応できます。

しかし、自宅やバーチャルオフィスと比較すると、初期投資に大きな費用がかかります。
また、事業の売上に関わらず、毎月オフィス賃料とOA機器のリース費用なども支払わなければいけません。

近年は、複数の会社が同じフロアに入居するシェアオフィスもあります。
通常の賃貸オフィスよりも価格は安めで、OA機器は共用になりますが賃料に含まれているケースも多いです。

本店所在地を決める際の注意点

本店所在地の決定に特に制限はありませんが、注意しなければならない点があります。
代表的なものをいくつかご紹介します。

賃貸物件では事前に確認・許可をとっておく

賃貸物件の住居用マンションでは、規約や賃貸借契約書に事務所用途で使えない、居住目的としての利用のみ認めるなどといったことが記載されていることがあります。

もし、自宅を本店所在地として登記したい場合は、必ず物件のオーナーと相談しましょう。

万が一、無断で本店所在地として利用していることが発覚した場合、賃貸借契約違反、管理規約違反として退去を命じられる恐れがあります。

一度登記すると、完全に消去できない

一度登記したけれど、変更した住所も国税庁の法人番号公表サイトで検索すれば閲覧できてしまいます。

特に、自宅を本店所在地にしようと考えている方は、この点を理解してから決めましょう。

同住所で同じ商号は認められない

本店所在地と事務所の住所を分けている場合は要注意です。

取引先や金融機関などから届く書類は、送り先を指定できますが、例えば税務署や裁判所、市役所などから送付される重要書類は本店所在地に送られるケースも多いです。

重要な郵便物は本店所在地に届くことが多い

本店所在地の決定に制限はないですが、同住所に同じ商号の会社がある場合はその限りではありません。

このように、同じ住所に同じ商号の会社の登記を禁止することを「同一商号同一本店の禁止」と呼びます。
また、これは設立登記に限らず、変更や移転時にも適用されます。

本店所在地の変更手続き(本店移転登記)の方法

最後に、本店所在地の変更手続き(本店移転登記)の方法について解説します。

株主総会の特別決議/取締役会の決議

定款に変更を加えることになるため、株主総会や取締役会での決議を行う必要があります。

移転登記申請

移転登記申請は、本店所在地を移転した日から2週間以内に行わなければいけません。
なお、登記申請時には、法務局にて下記の書類の提出が必要です。

同じ管轄内での移転

  • 移転登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録(もしくは過半数一致を証明する書類)

【他の管轄へ移転】

  • 移転登記申請書(2通)
  • 印鑑届書

また、同一管轄内・管轄外に関わらず、移転申請書1通につき登録免許税が3万円かかります。

税金・社会保険の変更手続き

本店所在地の変更手続き(本店移転登記)が済んだら、税金・社会保険変更の手続きを行います。
手続きには、下記の書類が必要になります。

 

書類

期限

税務署

異動届出書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

移転後すみやかに

都道府県事務所

法人の名称変更等の報告書、登記簿謄本または議事録の写し

移転後10日以内

市区町村役所

異動届または登記簿謄本の写し

移転後30日以内

年金事務所

健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届

移転後5日以内

労働基準監督署

労働保険名称、所在地等変更届

移転後10日以内

ハローワーク

雇用保険事業主事業所各種変更届、登記簿謄本の写し

移転後10日以内

支店所在地でも、本社移転登記が必要

支店がある会社では、支店を管轄する法務局で本店所在地の変更手続き(本店移転登記)を行わなければなりません。
規模が大きい会社ほど、手続きが煩雑になります。

まとめ

規模が小さいときは本店所在地を自宅に置いても問題ありませんが、規模拡大で手狭になったときには本店所在地の変更手続きが必要になります。

費用がかかるうえ、支店がある場合は手続きが煩雑になります。描いている事業計画や今手元にある費用などを勘案した上で決定しましょう。

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